転職して訪問介護で戸惑うこととは

特別養護老人ホームに代表される介護施設で働いていた人が、夜勤が体力的につらくなってきたなどの諸事情により訪問介護事業所に転職するケースも少なくない。しかし、これまでに培った介護スキルや経験が豊富にあるベテランヘルパーでさえ、介護施設と訪問介護の違いに最初は戸惑うことも多いようだ。まず大きく異なるのは、訪問介護では利用者宅を直接訪れて様々なサービスを提供する点だ。訪問する家ごとにその家庭独自のルールや習慣があり、臨機応変な対応が求められる。加えて、同居する家族と顔を合わせることも多く、利用者だけでなくその家族にも気配りすることが求められるのだ。

訪問介護のサービスには大きく2種類あり、食事・入浴・排せつなどの介助を行う「身体介護」と洗濯・掃除・調理などの家事を行う「生活援助」がある。身体介護に関しては、環境の違いはあるが、施設での介護経験が活かせるため心配ないだろう。一方、多くの人が戸惑ってしまうのが生活援助の方だ。生活援助サービスは多岐にわたるため、どこまでがサービスの範囲内でどこからが範囲外なのかの線引きが難しい。例えば、買い物の代行やゴミ捨てはサービス範囲内になるが、庭の草むしりは範囲外となりヘルパーは手伝うことはできない。

基本的な取り決めとしては、ヘルパーがしなくても生活に支障がないもの・医療行為・利用者本人以外への行為は対象外となっている。転職直後はこれまでと異なる環境に戸惑って当然だ。焦らず少しずつ新しい環境に慣れていくと良いだろう。そして、訪問介護について知ることも事前にやっておこう。